メキシコのスピリッツはテキーラだけじゃない|メスカルの魅力とは?
2025.8.28

メキシコを代表するお酒といえば、まず思い浮かぶのはテキーラ。
タコスとの相性も抜群で、世界中で愛されています。
でも実は、メキシコにはテキーラ以外にも奥深い魅力を持つスピリッツが存在するのをご存じでしょうか?
その代表格がメスカル(Mezcal)。ここでは、メキシコのアガベスピリッツについて解説しながら、テキーラとの違いやメスカルの特徴をご紹介します。
メキシコのアガベスピリッツとは?
テキーラやメスカルは「アガベ」と呼ばれる植物を原料にしたスピリッツの一種です。
アガベはリュウゼツラン科に属する多肉植物で、メキシコの乾燥地帯に広く自生しています。
アガベを原料にしたお酒を総称してアガベスピリッツと呼び、テキーラやメスカルはその代表的存在。日本でいう「焼酎」のように、地域や製法によって多彩なバリエーションが生まれています。
メスカルとは?
メスカルは、メキシコ全土で作られているアガベスピリッツ。特にオアハカ州が生産の中心地として有名です。
伝統的な方法では、アガベの心材(ピニャ)を土窯で蒸し焼きにし、甘みを引き出してから発酵・蒸留します。
この工程によって、メスカル特有のスモーキーな香りと深みのある味わいが生まれるのです。
テキーラとの違い
テキーラとメスカル、どちらもアガベを原料にしていますが、いくつか大きな違いがあります。
原料の違い
テキーラは「ブルーアガベ(アガベ・アスル・テキラーナ)」のみを使用。一方、メスカルは30種類以上のアガベが使われ、多様な風味を楽しめます。
生産地域の違い
テキーラはメキシコ政府が定めた原産地呼称制度(DO)によって、ハリスコ州を中心とする限られた地域のみで生産が認められています。メスカルはオアハカ州をはじめ、ドゥランゴ州やサカテカス州など、より広い地域で造られています。
製法の違い
テキーラは近代的なオーブンやオートクラーベ(圧力釜)で蒸すことが一般的。一方でメスカルは伝統的に土窯で蒸し焼きにされることが多く、そのため独特のスモーキーさが生まれます。
メスカルの特徴
メスカル最大の魅力は、アガベの種類や産地によって驚くほど多彩な香りと味わいが楽しめることです。
燻製香が強くワイルドなタイプから、フルーティーで繊細なタイプまで幅広く存在し、テキーラよりも自由度が高いとも言えます。
また、近年ではクラフト感あふれる小規模生産のメスカルも増えており、ボトルごとに個性が際立ちます。タコスとのペアリングでは、肉系タコスにスモーキーなメスカルを合わせると相性抜群です。
まとめ|テキーラだけじゃない、メキシコの奥深いスピリッツ
世界的に有名なテキーラはもちろん魅力的ですが、メキシコのスピリッツ文化はそれだけではありません。メスカルをはじめとするアガベスピリッツは、地域や製法、原料の違いから生まれる多彩な個性が楽しめます。
なお、テキーラやメスカルはメキシコ政府のNOM規格(Norma Oficial Mexicana)によって品質や生産基準が厳しく定められており、DO(原産地呼称制度)によって生産地域も保護されています。こうした制度があるからこそ、世界中で安心して楽しめるのです。
タコスと一緒に楽しむなら、テキーラとメスカルを飲み比べてみるのもおすすめ。メキシコの奥深い食文化を、ぜひ自宅の食卓でも体験してみてください。